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ロマンスカーの野望 [大手民鉄]

ロマンスカーの野望

ロマンスカーといえば今や小田急の代名詞と言っていいだろう。そのロマンスカーが今春のダイヤ改正で新宿、小田原間60分到達という、70年越しの悲願を達成する。「スーパーはこね号」が59分で走破するのだ。

これも代々木上原、登戸間複々線完成の恩恵で、この区間で約10分短縮できるからだ。複線の稠密ダイヤでは優等列車が普通列車に挟まれて並行ダイヤにならざるを得ず時間短縮は困難だったがそれが一挙に解消する。

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今から60年以上も前、初期のロマンスカーSE車は低重心構造連接式でスピードアップを図った。これは動力方式は違えどフランスの超特急TGVなどが今でも採用している方式で、恐らく急カーブの続く本厚木、新松田間の「山区間」でのスピードアップを目論んでいたものと思う。

この方式はその後登場したNSE車、LSE車にも引き継がれたが、HiSE車では当時流行したハイデッカー構造を取り入れ低重心ではなくなってしまった。この時点で車両の構造によるスピードアップは諦めたように思う。将来の複々線化による効果を既に見据えていたのかも知れない。

さらに後、特急車の形式番号が5桁になってからは連接構造も止めてEXE車、MSE車と平凡な着席通勤特急車が増備された。旺盛な通勤需要を優先させるため「ロマンス」どころではなくなったのだろう。唯一御殿場直通のRSE車だけは観光を意識して二階建て車を挟んだ。Rはリゾートの頭文字なのだから。

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ところが近年になってVSE車の登場で連接式が復活し味気なくなっていた特急車に喝を入れた。この時期ロマンスカーの人気が凋落低迷していたものと推測される。これが増備されるかと思いきや今度はGSE車なる新顔が特急の時間短縮をアピールするが如く鮮やかな真紅の車体で登場した。

連接式を採用しなかったのは最早車両によるスピードアップの必要性が無くなったからだろう。皮肉な結果ではあるが矢張り複々線化の効果は絶大で長期に亘る小田急の夢、小田原60分が21世紀に入り漸く実現することとなった。
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