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渋谷の宮下公園 [探索]

渋谷川の暗渠上に作られたウナギの寝床のような公園で、ホームレスが屯し夜などほとんど人通りがなく、あまり近づきたくない場所だった。ハッキリ言って公園とは名ばかりの小汚いスペースだった。

ところがどうだろう。渋谷駅周辺の再開発で高級ブランド店などが入る建物が出来その屋上が公園になった。一応、区の管理する公園という名目らしいが、その実態はショッピングモールだ。

渋谷駅周辺は渋谷川と宇田川の合流地点にあり、地下鉄の上を渋谷川が流れていて一部地下道の天井が低くなっている。センター街は宇田川の暗渠なのでいつもドブ臭く、あまり環境の良い場所とは言えないが東急の力で若者の街に変身した。その勢いが駅の端の公園にまで及んだという事か。

東横線が地下に潜っても駅南側の渋谷川が流れている場所は今でもスラムの雰囲気が漂う。このところの再開発で変貌を遂げる渋谷だが永久にドブの臭いが消えることはあるまい。
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練馬の館 [探索]

むか~し、もうウン十年もむか~しの話。
所要があって練馬の奥の方へ出掛けたことがあった。どこだったか西武線の小さな駅で降りてから随分と歩き回った挙句、とうとう道に迷ってしまった。

東京の23区内といえどもこの辺りまで来ると郊外といった趣でかつての大根畑がそのまま住宅地に変わったようなところだから道もうねうねと農道そのままで、番地も飛び飛びで規則性というものが全く無視されていて、今いる場所がどこかすら見当もつかない。

散々歩いて草臥れ果てたころ、洋館という形容がぴったりの一軒の豪邸の前に辿り着いた。立派な門柱がでんと構え辺りを威圧し雑木林に囲まれた建物は瀟洒な佇まいで一際目立っていたので思わず見上げてしまう。

昼過ぎに歩きはじめたものの日は傾き既に夕暮れ近く、アンバー一色が支配する晩秋の風景と相まって竹箒のような欅の梢が頗る寂しげでとても印象的だった。
気を取り直して一歩踏み出すと門柱の表札が目に入った。

そこには「手塚治虫」とあった。
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窪地の探検 [探索]

台地と呼ばれるところにも案外凸凹があって都市化されても元の地形はそのまま残る場合が多いが、国土地理院の2万5千の地図などの場合、住宅街はハッチングで表示され等高線は殆ど表示されず地面の高低差が分からない。

どうしても地面の凸凹が知りたいと思いネットで見つけたのがカシミール3Dというフリーソフトで、国土地理院の地図の標高データが色によって可視化できる。尺度も変えられ、通常の地図とレイヤーで合成し、その明度比率も調整できるちょっとしたグラフィックソフトなのだ。

さて、ここからが本題。
この地図を眺めていて面白いものを見つけた。川もないのにクレーターの様に窪んだ地形があるではないか。こういう場所をスリバチというらしく、スリバチ学会なる趣味団体も存在する。
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作成した画像、中央の窪んだところが平安窪

小平市は武蔵野台地にあり付近にはこうした窪地がいくつか点在するが、その中でも規模の大きい平安窪というところへ行ってみた。小平市役所の裏手のあたりで一橋学園駅の商店街を北へ進むと下り坂があってその底が平安窪だ。周囲との高低差は3メートルくらいだろうか家の二階ほどある。近くには平安窪通りという通りまであるから面白い。
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平安窪底部から見た坂道

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平安窪通りの標識

すぐ脇を西武多摩湖線が通るが、国分寺から北へ直線的に進んできた線路が一橋学園駅の少し先で不自然に左へカーブしている。線路の設計者が平安窪を避けたのだ。これは地図で見ると良く分かって興味深い。

こうした窪地は地下水脈の出口で大雨が降ると翌日あたりには水溜りとなり、その後何日も水が引かないこともあったそうだが、これは昔の話で現在は下水道が整備されたのでそのようなことはないそうだ。実際その場所へ行ってみると晴れた日でも何となく湿り気や水の匂いを感じることがあるのは気のせいでもあるまい。

平安窪から流れ出る川はないが、ここからほど近い小平霊園内にある「さいかち窪」は黒目川の水源、そのすぐ近くの「オオカミ窪」は出水川の水源でいずれも荒川へ注ぐ。
「オオカミ窪」は昭和初期、西武線開通時に線路を築堤で横切る構造にしたため水脈を堰き止めてしまい雨が降る度に水が出て大変だったという。しかもそこは西武鉄道が開発した分譲住宅地だというから皮肉なものだ。後に築堤にトンネルが掘られて水の出口が出来、戦後下水道が整備されて漸く水問題は解消したという。
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西武線の築堤、トンネルの向こうがオオカミ窪、手前側、ここから出水川の暗渠が続く。
左は小平霊園の裏口、右へ行くと久米川駅

東京の都心部にもいくつもの窪地があるが、その底には神社があったり、墓地だったりする。あまり良い場所ではないことは確かだ。以前その墓地のある底地で道に迷ったことがある。そうした場所の周囲は再開発で高層ビルが林立し底地との高低差を余計に強調し殊更陰鬱な場所にしている。
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